つれづれメイド喫茶日記

メイド喫茶の随想記みたいなものを書いていければなと思っています。

ドッキリに会ったときの話

10年ほど前、ある初めて行ったメイド喫茶での話。席につくとメイドさんが2人出てきて「はじめまして。新人の◯◯です」と深くおじぎをした。もう一人は付き添いらしく、「◯◯ちゃん今日が初めてなんです。よろしくお願いしますね」と言った。

今まで、新人さんに付き添いの人が付いて来るというケースに遭遇したことがなかったので何か違和感を感じた。

新人さんを見てみると、あるアイドルにそっくりだった。あまりにも似ているので、びっくりして目を見開いてしてしまった。「ご注文はいかがなさいますか?」と聞かれて、私は少し声が上ずりながら紅茶とケーキを注文して、2人は厨房へ戻っていった。

(えっ!何で?今のどう見ても◯◯だよなあ。でも何で◯◯がここにいるの?それとも似ているだけの別人かな?でも本物っぽかったよなあ)といった思考がぐるぐる巡り、頭の中がこんがらがってきた。

ふと、この店の雰囲気がおかしいことに気付いた。部屋をよく見回してみると、部屋の四隅がマジック・ミラーになっている。さらに目を凝らしてみると、うっすらカメラのようなものが見えた。やばい、これはテレビか何かなのか。

と思った瞬間、「すみません、私がもしもメイドさんだったらというドッキリだったんです」と言いながら、彼女が紅茶とケーキを持ってやってきた。そのあと少し世間話のようなものをして、お店を出るときに「ありがとうございました」と深々とおじぎをしてくれた。いい人だなあと思った。


外に出ると、ADらしき人が立っていた。「すみません、ぜひ番組にご協力頂きたいのですが、番組に放映されるのが嫌でしたらカットもできますし、モザイクにするといったこともできますので、ご希望を聞かせて頂けますでしょうか」と聞かれた。私は深く考えず、軽く「いいですよ」と答えて帰った。

しかし、日が経つにつれ、もしテレビに映ったらどうしようという思いがふつふつと沸き起こってきた。だんだん怖くなった。今のようにコスプレが市民権を得ているような時代ではない。メイド喫茶に対する偏見も強かった。

当日、頼むから映らないでくれと思いながら、その番組をおそるおそる見てみた、すると、いきなり私の顔が映り、彼女を見て驚いている私の顔から吹き出しが飛び出し「あれ?この人◯◯じゃないの!?」というセリフが出てきた。とってもありがた迷惑な演出だ。

もうだめだ。この番組を会社の人や友人が見ていたらもう終わりだ。でも、この番組はそれほど有名でなく、深夜に放送されているものだったので、知っている人はそれほど多くない。できれば職場の人が誰も見ていないことを願った。

次の日、会社に行くと平然と仕事をしていて、テレビの会話を振られることもなかった。「誰も見ていなかったんだ。ああ、よかった」と胸を撫で下ろした。

しかし、仕事が終わりかけになって、ふと上司に「ちょっと変なこと聞いていい?秋葉原に行ったりすることってある?メイド喫茶とか?」と聞かれた。どう答えればよいのだろうと私がうろたえていると、「あの番組ですよね。私も見てビックリましたよー」、「俺も見た見た」と続々周りに人が集まってきた。

その場は笑い話のような感じで収まったが、それ以来しばらくの間、話をしていても「でもこの人は自分がメイドクラスタであるということを知っているんだよな」ということを考えてしまい、仕事がしづらくなってしまった。

しかしこんな形でまわりにメイドクラスタバレをすることがあるなんて思ってもみなかった。